更年期の肌のかゆみや乾燥の原因とは?予防対策について
更年期とは、閉経する年齢の前後5年を合わせた10年間のことを指し、更年期に生じるさまざまな症状を更年期障害といいます。
更年期障害が引き起こす症状は、ホットフラッシュ・手足の冷え・イライラとしたストレスなどです。これらのよく知られる症状の他にも、骨粗鬆症・高血圧・肌のトラブルなどが挙げられます。
今回の記事では、肌のトラブルを中心に原因や予防対策について紹介します。
参考:厚生労働省「女性が気を付けたい症状・病気」
更年期による肌トラブルの症状
更年期に入ると、自律神経や血液循環に影響が現れるため、血流が悪くなりやすい傾向にあります。
血流が悪くなることで、顔色が悪く見えたり老廃物の流れが悪くなったり、栄養や水分の巡りが悪化します。それがさまざまな肌のトラブルを引き起こす原因です。
ここからは、肌に生じるトラブルを5つ紹介します。
肌が乾燥する
更年期は、血流が悪くなると同時にコラーゲンの生成量が減少し、肌の保湿力が低下します。
肌の乾燥が酷くなると、粉吹きやひび割れが生じるため、特に乾燥しやすい箇所の保湿ケアが大切です。
乾燥しやすい箇所は、以下の通りです。
- 目の周り
- 口の周り
- 肘
- 膝
- かかと
皮膚が薄い箇所や皮脂腺、汗腺の少ない場所は乾燥しやすい傾向にあります。
肌がかゆくなる
皮膚の保湿力が衰えると皮膚や粘膜の乾燥が進み、皮脂膜や角質層が薄くなります。
肌が薄くなるとさらに乾燥しやすくなり、皮膚のバリア機能も低下してしまいます。
そのため、髪の毛やホットフラッシュで生じた汗、服の繊維などのちょっとした刺激でも肌が過敏になり、ピリピリしたり痒みの症状が現われたりするのです。
シミ・くすみが気になる
肌には、表皮細胞のターンオーバーや紫外線や刺激による表皮細胞へのダメージを弱めるなどの、肌バリア機能が備わっています。
紫外線を浴びると、紫外線から肌を守る機能のひとつであるメラニンが生成されて、日焼けになることも特徴です。
しかし、女性ホルモンの分泌が低下するとメラニンの生成が抑えられ、シミが増加する傾向にあります。
肌バリアが弱くなることで紫外線の刺激を受けやすくなったり、ターンオーバーが充分にできずにメラニン色素が沈着してシミになるためです。
シワ・たるみが気になる
女性ホルモンの分泌が減少すると、肌の弾力を保つコラーゲン線維やエラスチン線維の減少や変性が起きるため、シワやたるみが進行します。
コラーゲン繊維やエラスチン線維は、皮脂分泌の減少や乾燥から肌を守る働きがあるためです。
シワやたるみは見た目年齢とも関係が深く、シミやくすみとは違いメイクで隠すことは容易ではありません。
抜け毛が増える
更年期の症状のひとつとして、抜け毛の量が増える、薄毛になるなどの毛髪に関する悩みがあります。
性別に関係なく女性ホルモンと男性ホルモンは両方とも分泌されており、更年期になって女性ホルモンの分泌が減少すると、男性ホルモンの影響が出やすくなるためです。
また、ストレス・食生活・運動不足が原因で抜け毛が進行することもあります。
更年期の肌トラブル・肌のかゆみの原因
更年期の肌のトラブルには、乾燥や痒みだけではなくシミやたるみなど、さまざまな症状があります。
ここからは、それらの症状が現れる原因について詳しく紹介します。
エストロゲン・コラーゲン不足
エストロゲンとは、卵巣から分泌される女性ホルモンのことです。
エストロゲンには、肌のハリや保湿力を維持する働きのあるコラーゲンの生成や皮脂腺の分泌を促す働きがあります。
そのため、エストロゲンが減少するとコラーゲンが生成されにくくなり、皮脂腺の働きも低下するため肌が薄くなって乾燥し、かゆみやたるみが引き起こされます。
血流の低下
肌の乾燥やくすみは、血流の低下によって起こることがあります。
肌の表面には毛細血管が張り巡らされているため、血行不良や貧血が生じると、毛細血管を通して送られていた水分や酸素、栄養が皮膚細胞に行き渡らなくなります。
また、老廃物も排出されにくくなり、潤いやハリが失われてしまうことで、シミやくすみなどの症状が現れるのです。
※貧血とは、血液中のヘモグロビンが減少した状態のことを指します。
生活習慣の乱れ
更年期に起こるさまざまな症状を悪化させる要因のひとつは、生活習慣の乱れだといわれています。
特に睡眠や運動は交感神経と副交感神経のバランスを整えるため、不足すると精神が不安定になり、落ち込みやすくなると考えられています。
不眠の症状自体が更年期に起こる症状のひとつですが、生活に運動を取り入れると血液の循環がよくなり、眠りやすくなるでしょう。
ストレス過多
更年期の症状としてストレスが挙げられます。
イライラする原因は交感神経の乱れや、精神的・身体的・環境的な負荷などいくつか該当します。
ストレス過多の状態が続いていると、ストレスホルモンが分泌され、交感神経が乱れてイライラしてしまうのです。
また、呼吸が浅くなったり血流が悪くなったりすることで、肌のくすみや乾燥、たるみにもつながります。
肌のかゆみの予防対策
更年期は誰にでも訪れるため、更年期自体を予防することはできません。
しかし、更年期に現れる症状は、予防対策を事前に取ることで抑えたり緩和させたりできます。
ここからは、肌の痒みについての予防対策について詳しく紹介します。
食事習慣を見直す
肌の新陳代謝を促進させるためには、血流をよくすることがあげられますが、ビタミンA・C・Eを積極的に接種することで改善する可能性があります。
これらのほかにも、大豆は女性ホルモンと似た働きの成分があるため、肌状況の改善におすすめです。
ビタミンA・C・Eを多く含む食品は、以下の通りです。
栄養素 | 食材 |
ビタミンA | レバー・うなぎ・にんじん・ほうれん草など |
ビタミンC | 青菜・ブロッコリー・キウイ・オレンジなど |
ビタミンE | アーモンド・ひまわり油・すじこ・ドライトマトなど |
睡眠を量質ともに改善する
自律神経を整えるため、質のよい睡眠を取ります。
特に、午後10時から午前2時の間に睡眠をとると、新陳代謝を促す成長ホルモンが分泌されやすいといわれているため、できる限り午後10時から午前2時の間に睡眠をとりましょう。
質のよい睡眠をとるには、以下のことを意識します。
- ブルーライトを目に入れない
- 眠る前にはアルコールやカフェインを避ける
- 眠る3時間前になったら食事はしない
ぬるめのお湯に浸かる
熱いお湯での入浴は、皮脂が落ち過ぎて肌のバリアが弱くなるため避け、ぬるめのお湯につかります。
毎日石鹸やボディーソープで体を洗ったり、熱いお湯につかると皮脂が落ち過ぎてしまうため、毎日入浴をする際には、体を洗わない日を設けましょう。
また、長時間の入浴も皮脂を落としてしまうため、10分程度がよいとされますが、半身浴をするとストレスの緩和や血行促進の効果が期待できます。
漢方薬を利用する
更年期の症状は、漢方薬を利用することで改善されることがあります。
更年期の肌トラブルでよく利用される漢方薬は、以下の通りです。
・温経湯(うんけいとう)
皮膚の乾燥や抜け毛、唇の乾燥する症状に効果が期待できます。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
乱れた気のバランスを整えてストレスを抑えます。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
冷え性や貧血の傾向がある方におすすめです。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
不安感や恐怖感など、精神的なストレスから高まった気を鎮静してくれます。
かゆみが酷いときは医師に相談する
保湿したり生活習慣を見直したりしてセルフケアをしても、症状が改善されないときには、早めに医療機関に相談しましょう。
また、眠れない程のかゆみがある場合は、治療が必要な症状にまで進んでいる可能性があります。
紫外線対策をする
紫外線は肌のバリア機能を低下させるだけではなく、シミの原因にもなります。
洗濯物を干すときや取り込むときなど、外出はしないけど太陽に当たる場面にも日焼け止めを塗ったり帽子をかぶって、紫外線を避けましょう。
紫外線を浴びた後は、しっかりと保湿ケアをします。
保湿ケアで意識することは、次の通りです。
- 洗顔後の肌が充分に潤っているときにする
- 乳液はたっぷりではなく、薄くつける
まとめ
更年期障害とは、閉経する年齢の前後5歳、10年間のことを差し、日本女性の平均閉経年齢は50.5歳です。
更年期の症状には、ホットフラッシュやイライラ感の他にも、肌の乾燥やかゆみが現れることがあり、予防対策をしっかりとすることで改善されることがあります。
しかし、改善されないときやかゆみが強く表れた際には、医師に相談しましょう。
この記事へのコメントはありません。